2012/07/20

太陽の子


一枚の写真を、部屋に飾った。


私には、まさに「正反対」な友人が居る。
面白いほどに真逆だ。
季節に例えるならば、冬と夏。
色に例えるならば、パステルとビビット。
時間帯に例えるならば、夜と昼。
花に例えるならば、紫陽花とヒマワリといったところだろうか。
とにかく彼女はとびっきりにエネルギッシュで、いつだって明るく朗らかで、「この人は喋るのを止めたら死んでしまうんじゃなかろうか」というほどに饒舌で、
たまに(ほとんど)ぼーっとしている自分とは対照的に、キャピキャピしている。

そんな彼女の家に、一週間ばかり泊まらせてもらっていた。
東京へ行く事になり、「ヤマダ!それならウチ来なよ!」(※私の事を"ヤマダ"と呼ぶ) と。
普段、関東と北海道で離れていて、年末の帰省シーズンに再会をする。
今回は約半年ぶり。数日前に7時間ものウルトラ長電話をしたにも関わらず、
合流した瞬間に飛び交う言葉達。
もはやちょっとしたトークショー。

7日間も一緒に過ごすとなると、様々なシーンに遭遇するもので。
シャワーを浴びている最中、水音を上回り、リビングから聴こえてくる「アハハッ アハハハハハッ」という高笑い。(本を読んでいたらしいです)
夕食の準備をしている時、お化粧をしている時、別行動になると聴こえてくる「にゃーにゃーにゃにゃにゃー」という謎のソング。(無意識らしいです)
眠っている時、息の音さえ聞こえず、少し心配になるほどの静寂を突如遮った「鬼が来るぞ!」という恐ろしい寝言。(傷つくと思うので内緒です)
じつにエキゾチックな暮らしでした。

その反面、新しい発見もありました。
ふと見せてくれたフォトアルバム。
「いやわたし美術館とか誘われても無理だわー」、「芸術とは無縁だわー」なんて言っていた彼女ですが、
そこには素晴らしい写真が溢れていました。
美しくて、気持ちが見えて、ハッとさせられる空間の切り取り方があって。
その中でも、いちばんに見惚れた、空の写真。
やわらかい雲と光がきらきらしていて、
無垢な青はどこか彼女自身に似ていて、
思わず「これ欲しいな、すっごく欲しいな」とおねだり。
大事そうに抱えていた手から、「どれがいい?」と広げ、選ばせてくれました。
私はお気に入りの一枚を指差し、可愛らしいくまちゃんの袋に入れてもらい、「ありがとう」と大切に受け取りました。
宝物です。

たぶんきっと、元気のプレゼントだったのだろう。
決して言葉にしなかったけれど、
不安がぐるぐる渦巻いて眠れない私や、
誰かをじっと待っている私や、
戸惑いをまとって「ただいま」と帰ってくる私や。
そういう影の部分を見逃さず汲み取ってくれていたのだと思う。
次に会う時は、この愛をきちんと、返そうと思う。
それまでの間、部屋に飾ったこの空の写真を見て、強くなろうと思う。

まさに、太陽の子。
明日も明後日も彼女の心が晴れ渡っていますように。

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