春みたいに笑う子。
気配はやわらかくて、となりで過ごす時間は、ふかふかのじゅうたんみたいだ。
何年経っても。いつだってそう。
わたしのたいせつな親友。
ふたり、夏の終わりの、海へと向かった。
八月も後半。
北海道のこの時期の空気は、そろそろ秋を感じるもの。
「海水浴場、ガラガラかな」と話しながら行くと、
そこには、まだ夏がしっかりとあった。
ちいさなテントが立っていたり、
いくつかのビーチボールも見かけたし、
ラジオの横で、サンオイルを塗って、本気モードで肌を焼く人も目撃した。
ちゃんと、夏だ。
わたしたちは静かな場所をみつけて、
わたしたちなりの過ごし方をはじめていく。
ちょうどよい波がたっていた。
太陽の光が反射して、遠くの岸の少年が、妖精みたいに見えた。
「あー、お昼寝の入口に似てる、ねむたくなるなー」と思い、ふと横を見ると、
友人もまさにそんな顔をしていた。
ひとつの報告をするために、海へと誘った。
「話したいことあるから海、行こうや。」なんて、変にドラマチックで気が引けたけれど、
こういうときに照れ屋なわたしは、これくらいしなきゃ、言えないと思った。
この夏、じぶんが出した答え。
わたしがわたしらしく生きていくための、ひとつのおおきな、決断を。
波の音をくぐって、伝えた。
「サヲリなら大丈夫だよ」と、
すぐに伝え返してくれた。いつもの彼女らしさ。
「すこし、さみしくなるね」と、
数分後。いつもとちがう、言葉の間。
太陽はいつの間にか低くなって、海の家が閉まり、こどもたちの声も聞こえない。
一度も時計を見なかった。
それくらい、こぼさないように、時間を過ごしていたように思う。
誰よりもわたしを知っていてくれる彼女のためにも。
もっと強く、世界を知っていこうと思った。
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