一秒でもながく、一つでも多く。
天気は快晴、空気はキンと冷たい午後。
だいすきな友人と坂東珈琲へ。
木目調の店内はすぐに馴染んで、大きな窓に沿うようにしてあるカウンター席が目に留まる。迷わずそこへ。
珈琲の名前が、可愛らしい。
「ことりブレンド」、「ふくろうブレンド」、「おおわしブレンド」。
わたしはほろにが、ふくろうを。友人はコクにが、おおわしを。
甘い物が好きな私達は、あたりまえにデザートを。
彼とは、夏に出会って、それからは定期的に会っている。
いろんなはなしをして、おいしい食べ物を一口ずつわけ合ったり、"つくる"ことを一生懸命かんがえたり。
「ひかり」のようなひとだ。
夜の闇のなかで迷子になったとき、心細くないようにと、空の高いところ、そっとある星のひかりみたいに。
彼がにっこりすれば、あたりはあたたかくなって、わたしもその笑顔に何度も救われるようにして過ごしてきた。
この冬にあったさまざまなことを、報告し合っていく。
胸がチクチク痛くなって、涙がこぼれそうで、珈琲をすすめてごまかす。
わたしの番になって、なにからどうやって伝えたらよいかわからなくなって、整理しながらはなしをする。
こころの入口で、重たい石ころが詰まっているみたいに深刻な感覚が、打ち明けたとたん、「クスクスッ」と笑いに変わっていた。
どうしてか、おかしくてたまらなくなって、ふたりでハハハと笑う。
会えてよかったな、と思った。このひとでよかったな、と。
途中、ひこうき雲が スーッ と線を引いて消えた。
冬の夢のすみっこで、手を振った日。
やさしい顔ができた日。
BGM: Jonny Greenwood 「To Shut Up Like A Good Boy」
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