2016/10/29

爽 レコ発ツアーファイナル「泣いて踊った君と私の夜」


紙媒体デザインを担当させていただきました、
爽 レコ発ツアー「泣いて踊った君と私の夜」。
ツアーファイナル・札幌編を見届けに行ってきました。(2016.10.28 @ KRAPS HALL)
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爽 official web site

紙媒体デザインについて(過去Blog記事)
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― 紙媒体のビジュアルテーマは、「海底のダンス」。
深い海底まで届く、やわらかくたくましい、諦めなかった光たち。
水中で燃える炎、言葉をもたない色、涙の信号。
送られてきた陽光を浴びて、秘密のように踊った、ふたつの月たちの物語。

爽さんの世界は、海のように広くて深い。
北の自然の気配や神様さえもまとい、育まれてきたような強さがある。
それでいて、繊細で丁寧な呼吸のような表情もある。
聴く人々の鼓動を抱きしめるようにして、心のすぐ近くで、鳴っているように思う。 ―
(デザイン解説Blog記事より、抜粋)


私は日々、イベントの紙媒体をデザインさせていただいた際、
北海道内が会場の場合は、なるべく開催日に伺うようにしています。
「答え合わせ」という言葉は少しニュアンスが違うけれど、自分が音源を聴かせていただきながら育て描いてきたイメージと、当日その場所に流れる空気を、心で確かめに行きます。

昨夜は、その確かめる手が止まってしまうほど、圧倒されるものがありました。


仕事が立て込んでしまい、
到着したのは、爽さんがこれからはじまる、というタイミング。
(今回のデザインは、出演者皆さんのサウンド要素を参考に描いたものなので、本来であれば全編見届けたかった気持ちです。)
街の音、雑踏を抜けてきたばかりの状態でしたが、爽さんのはじまりの一音で、世界にスッとさらわれる。

フロアのお客様、ひとりひとりがひとつひとつの響きを、抱きしめているのがわかった。
それぞれに楽しんだり、心や記憶の深くに潜っていったり。
爽さんの歌は、みんなを自由にしているのだ、と思った。
もちろん私も、その自由の波に溶けて、過去・現在・未来をぐるり歩いたりした。

冒頭に記した通り、
「深い海底まで届く、やわらかくたくましい、諦めなかった光たち」をキーワードに制作いたしましたが、
きのうの夜には、もっともっと強い、その先の光が見えた。
爽さんは、太陽のようでも月のようでもあり、世界中に共通する光をもっているのだと思う。
雲がたち込めてくれば、太陽は隠れてしまうけれど、必ずまた元気な顔を見せてくれるし、
月だって、厚い雲の切れ間で戻ってきてくれた時は、いつだって見惚れる。
決して止むことなく、星のどこかで続いている光。

同じく冒頭で書いた、
「爽さんの世界は、海のように広くて深い。」という当初の言葉も、それに留まらなかった。
海よりも、空に近い。
いつでも会える空。いつかの大事な何かと繋がっていると、信じたくなる空。


とにかく、純粋に「音楽っていいなあ」と思えた夜でした。
爽さんの音楽が、この街から生まれ奏でられていることが、誇らしい。そう思った。

また戻ってきてくれた時、
もう一度、デザインを任せたいと思ってもらえるように、手を止めず頑張っていこうと思った。
もっと大きくなっていたいものです。

爽ちゃん、素晴らしい夜をありがとう。
一緒にお仕事が出来て、ほんとうに、たくさんの力をいただきました。
お客様たちと一緒に、私もここで、待っています。

2016/10/26

みずうみの恋人


「まだ君が見たことのない場所、どこへだって、連れて行ってあげる」と、
恋人はいつもそう言ってくれる。



雪がちいさく舞っていた。

車窓の向こうの紅葉に「秋ですね」と話しながら到着したのは、
もうすっかり冬の支笏湖。
時刻は夕方16時半過ぎ、ハイシーズンではないけれど、湖を静かに眺める人々がちらほら。
ちょうど良い波が立っていて、やわらかい水の音。言葉も不要な世界。
私達もそっと、その空間に混ざる。

海も湖も、目を細めるくらいに元気な太陽のもと、きらめく姿は素晴らしいけれど、
わたしは、それらの”眩しいものたち”が去ってしまって、ほんの少しさみしい、夏のカーテンコールみたいな水面が好きだ。
空気は澄んで、普段なら見落としてしまいそうな言葉の影も、すべて拾えそうな気がする。


私は車のない家庭(なぜか、父が免許の更新をしなかったというだけ)で育ち、
こどもの頃、キャンプや道内旅行をする機会がほとんど無かった。
北の大地に住んでいながらも、観光名所と呼ばれる大半は、見たことのない世界だ。
そんな私に、少しずつ新しい景色を教えてくれる、恋人。
(過去に旅行会社で添乗員を務めていた彼は、要所要所で説明をしてくれて、「なんだか、ツアーバスを貸し切りしているみたいだなあ」と、隣で楽しく話を聞く。)

彼は、ほんとうに優しい。
穏やかな湖みたいな人なのだ。
出会った頃にくれた言葉で、わすれられない一言がある。
―「僕はモノづくりや表現とは縁遠い人間だから、
君が望むカタチでの刺激は与えられないのかもしれない。
だけど、だからこそ、僕にしかできない支え方があると信じていてほしい」。―
そう言って、美しい写真集をいくつも贈ってくれたり、こうして私がまだ知らない場所へと連れ出してくれては、はじめての風景をプレゼントしてくれる。
風のにおいや町々にある光は、そのまま私の一部となり、作品に反映されていくのを日々感じる。
制作が豊かになっていくのを感じてもらうことが、何よりも感謝を表す手段だと思っている。


ひとつの制作が終わると、
「お疲れ様。さあ、切り替え、切り替え。」と、こうして小さな旅に連れて行ってくれる。
次の制作がすぐ控えているときは、仕事帰りにお酒を買ってきてくれて、ふたりでささやかな乾杯をする。
彼はお酒が弱いから、アルコール度数の低い缶チューハイで付き合ってくれるのだけれど、翌朝の出社時は「頭痛い…」と呟いて家を出て行く。(無理せず、お茶でもよいのにな…)



冬の湖は、優しかった。
水際を歩いて遠ざかる恋人の背中と、それは似ていた。
みずうみの恋人。
もっと大きくなってみせるから、ずっと見つめていて。みずうみの恋人。

2016/10/16

【アーティスト写真】斎藤 洸(SNARE COVER)


札幌を拠点に活動されている、
斎藤 洸(SNARE COVER)さんのアーティスト写真をデザインさせていただきました。
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斎藤 洸(SNARE COVER)

Instagram : snare_saitou
Twitter : @snare_saitou
Facebook : 斎藤 洸
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SNARE COVERがバンドセットだった時代から、
バックドロップ(旗)やアーティスト写真(>記事URL)を担当させて頂いておりましたが、
ソロプロジェクトとして再始動するにあたり、新たなビジュアルを手掛けさせていただきました。


バンドセット当時、ステージ後方へ掲げるバックドロップ(旗)を描かせて頂いた際から、
”心地よい異世界”を感じていて。
元々SNARE COVERのファンだった私は、交流をもつ前からライブハウスへ伺っていたのですが、その頃から一層ずつ育ててきた風景を、バックドロップでは自由に表現させてもらって。
空中に浮かぶフラッグたちには、ビビッドな印象のものも、含まれていました。

今回のビジュアルテーマは、「反射するノスタルジック」。
フィルムが感光したような、母の優しさのような、記憶のオーロラをイメージしました。
打ち合わせ時、斉藤さんがおっしゃった「シンプル/モノクロ」という単語は、自分が感じていたものと同じ質感を含んでいました。
ソロプロジェクトとなるにあたり、さらに郷愁性が深まり、懐かしい写真に思い思いの光が射すような、確立された大地を想像しました。


バンドセット、ソロ。
形は異なりますが、SNARE COVERのすべて、呼吸をしています。
これまでの楽曲も聴いてほしいし、これからの挑戦も見ていてほしい。
すべてを巡り歩いて生まれた今回のビジュアルです。
その旅の色を皆さんに感じていただけましたら幸いです。

バンドとして、沢山の人々を新境地に連れて行ってくれたSNARE COVER。
斎藤さんの歌声は、これまでの全部を抱きしめて、未来へ届けていく力があると思う。
積極的にSNS等でも発信されていらっしゃいますので、どうかゆっくり、世界にふれてみて下さい。

2016/10/11

【アートワーク制作】End& 1st.アルバム「Continue-s」


End& 1st.アルバム「Continue-s」、
アートワークを担当させていただきました。
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End&
1st.アルバム「Continue-s

01 君が笑う世界
02 ヒカルイメージ
03 コネクティックガール
04 カナリア
05 wanderluster
06 ナナシバラード

2016.10.11 配信Release ( iTunes etc, )
2017年 CD全国発売
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くるり、スネオヘアー、マーガレットズロース、the sworn group,、中嶋定治、隙間三業、ケミカルボリューム等のプロデュースを手掛ける、THE SUGAR FIELDS原朋信さん設立の「カフェオレーベル」(http://www.cafeo.tv/index.html)。
上記レーベル企画から生まれた、
littro rettleのボーカリストandeとcomposer川島章裕による宅録うたモノユニット「End&」。
今作が一枚目となるalbum「Continue-s」にて、アートワークを担当させていただきました。


ビジュアルテーマは「めぐりの窓辺」。
風にゆれるカーテン、やわらかな陽。
静かな波の線と、繊細な泡の光、たまに出会える虹。
いつもの窓辺は何度だって巡るけれど、繰り返すたび、輝きは増幅している。
誰にだって訪れる、ささやかで特別なストーリー。

今回のアルバムコンセプトにある”終わりとつづき”から生まれた、
やさしい窓辺の物語です。
Vo.andeさんの歌声には、夕焼けのようなあたたかい愛がたくさん詰まっていて、いとおしい日々の輪を感じました。
抱きしめるように到着を称え、送り出してくれる出発がありました。
暮らしには夢も希望も、闇も穴も、様々なことがあるけれど、
夕陽はいつも温かく、遥かより風が届き、そよぐ海があり、失った光は未来で新しい輝きに成る。
そんな、わすれたくない、信じたいものたちが存在していました。


今作リリースのカフェオレーベル・原朋信さんは、以前から存じており、
プロデュースを手掛けられた初期「くるり」や「スネオヘアー」等を日々聴いてきた私にとって、
今回のご縁をとても嬉しく思っています。
原さんご自身のTHE SUGAR FIELDSも、めちゃくちゃかっこいいんですよね。

10月22日(土) 東京@青山月見ル君想フ にて、
レーベル企画LIVEも開催とのこと。
特設ページ: http://cafeo.planet.bindcloud.jp

End&さん含め、素敵な皆様が勢揃いですので、
お近くの方はぜひ足を運んでみてください。

2016/10/02

【アートワーク制作】green Album「6th color sounds」


green Album「6th color sounds」、
アートワークを担当させていただきました。
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green Album「6th color sounds」

Release:2016.10.30
「M3」音系・メディアミックス同人即売会 (会場: 東京流通センター)
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2016年10月30日(日)、
東京流通センターにて開催されるイベント「M3」にて販売となります、
green Album「6th color sounds」。
アートワークを担当させていただきました。


ビジュアルテーマは「流星のゲートと軟体の虹」。
サウンドから、北の国の美しい季節が反射するシーンを連想しました。
時に鋭利ともなるその美を「鏡の細胞」で表現。(中央・左)
色たちが互いに反応し、星の光や雨粒の流れ、つややかな発光体を生んでいく生命力・強さを描き起こした一枚です。

心情の床を静かに撫でてくれるような瞬間や、閃光のような瞬間、
多様な顔をもった世界だと感じています。
深い深い部分でリンクしていく流れや、手を引かれ魅せてくれる景色たち。
自分の意識のカーテンに遭遇する収録トラック、素敵です。


近頃の制作では、絵の具やオイルパステルを使用したアナログ手法が続きましたが、
今作はすべてグラフィックです。
たくさんの新しい刺激をいただいたご縁に、心より感謝しています。


現在は、上記同様、
10月30日(日)に東京で開催されます、イベント「M3」にて販売が決まっています。
お近くの皆様、機会がございましたら是非、手に取ってみてください。